KAWASAKI 1400GTR 2008 | |||||||||||||||||||||||
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KTELノイズレスマイク | 断線したケーブル | 無事復旧 | |||||||||||||||||||||
実施日: 2024/4/29 昨年11月、電波は出るが変調が乗らない症状で修理したアマチュア無線機だが、今月1400GTRオーナーズクラブのメンバーとツーリングに出かけたとき、また同じ症状が出た。帰宅して調べてみると、前回ハンダが外れていたPTTライン部分には問題がなかった。そこで試しに予備のマイクを無線機につないでみたところ症状は出ない。つまり症状が出る方のマイクは、マイクからDIN5ピンコネクター間でマイクラインが断線している可能性がある。そこでマイクを取り付けているプラスチックケースのフタを開けて、内部のマイクラインのハンダ付け部分外れていないか確認したが問題はなかった。 次にはんだ付け部分でマイクラインを切断し、そこからDIN5ピンコネクター端子間を確認したところ、マイクラインの+側(赤線)に導通がなかった。ケーブルがプラスチックケースから出る部分にはストレスがかかるので、その付近でケーブル内部の赤線が断線しているのかもしれない。そこでケーブルをプラスチックケースから抜き取ってストレスがかかっていた部分で切断し、そこからDIN5ピンコネクター端子間を確認したところ導通があった。切り落とした部分のケーブル内部で赤線が断線していたということである。 少し短くなったケーブルをプラスチックケースに差し込み、内部で必要な配線を行って無事復旧した。 もしかすると、昨年11月のPTTラインのハンダ外れは作業中に意図せず発生したもので、実際には既にマイクラインが断線しかかっていて、それが問題の真の原因だった可能性がある。 |
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インサートコイル加工キット | 壊れたM5メネジ | メネジ穴拡張(Φ5.2mm) | |||||||||||||||||||||
インサートコイル用タップ立て | インサートコイル挿入中 | インサートコイル挿入完了 | |||||||||||||||||||||
M5ボルト挿入 | M5ボルト挿入 | インサートコイル加工完了 | |||||||||||||||||||||
実施日: 2024/4/6 今月初めLEDドライビングランプステーを導入した際、LEDドライビングランプを固定するボルトを締め付けているときメネジ(M5)を一箇所ねじ切ってしまった。このメネジはLEDドライビングランプ側面に直接タップを立てて作られているが、その部分の材質がアルミ合金なので強度が低い。それはわかっていたのだが、このボルトはしっかり締め付けておかないと走行振動でボディーが傾き光軸がずれる。そこで若干強めにボルトを締め付けたところ、あのイヤな感触と共にボルトが空回りしてしまった。この状況を放置するわけにはいかない。そこで壊したメネジだけでなく2個のドライビングランプ側面のすべてのメネジ(計4か所)にインサートコイル加工を施すことにした。 インサートコイル加工は、壊れたメネジを元のサイズに再生する方法のひとつである。あるいはアルミ合金など柔らかい母材にメネジが必要なときに、あらかじめインサートコイル加工を行っておくこともある。インサートコイルはステンレス製なので、アルミ合金より高い締め付けトルクをかけられるメネジとなる。今回の作業手順としては、壊れたメネジ部分の穴をドリルで拡張した上でインサートコイル専用のタップを立て、そこにインサートコイルを挿入することにより元のM5サイズのメネジを構築する。AmazonでM5インサートコイル加工セット(中華製)を入手して作業してみることにした。入手したインサートコイル加工キットに含まれていたのは:
である。作業を行うためには上記以外に(電動)ドリルとタップハンドルが必要となる。今回は中華製を使うが、メジャーなリコイル社から出ているインサートコイル加工キットにはパイロットタップが付属しているものがあり、これを使えばドリルビットを使わずにインサートコイル用のタップを立てることができる。筆者は以前、フロントフォークロアブラケットのネジ穴にインサートコイル加工を行ったとき、このパイロットタップを使ったことがある。ただしパイロットタップは通り穴にしか使えない。今回加工するメネジ穴は通り穴だが、貫通した数㎜先に壁があるのでパイロットタップは使えそうになかった。 メネジ穴を拡張するのにボール盤を出してくるのは面倒だったので、電動ドライバーを使うことにした。拡張する穴が傾かないよう、手持ちのΦ4.5㎜、Φ4.8㎜、Φ5.0㎜のドリルビットで少しずつ穴を拡張し、最後にキット付属のΦ5.2㎜のドリルビットを使った。キット付属のタップは先タップまたは中タップ相当のものだったが、何とか必要な奥行きのあるメネジを切ることができた。インサートコイルの挿入もタングの折り取りもキットに含まれていたツールで問題なく作業できた。インサートコイル加工を施したLEDドライビングランプを車体に取り付けてみたところ、納得のいくトルクでボルトを締め付けることができた。 |
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DENALIランプステー | ランプステー板厚 | ランプステー取り付け | |||||||||||||||||||||
ランプステー取り付け | ランプステー取り付け | ランプステー取り付け | |||||||||||||||||||||
LEDドライビングランプ取り付け | LEDドライビングランプ取り付け | LEDドライビングランプ取り付け | |||||||||||||||||||||
LEDドライビングランプ取り付け | イエロー点灯状態 | ホワイト点灯状態 | |||||||||||||||||||||
実施日: 2024/4/1 2022年11月に取り付けたLEDドライビングランプは、取り付けから2年5ヶ月(5,705km)が経過したが、ここまで故障もなく使えてきた。LEDドライバーが外付けであるためか、純正空気圧センサーの微弱電波通信に障害を与えないのが筆者的にはポイントが高い。ただし灯体+自作マウントステーの重量がかなりあり、それをフェンダー固定ボルト(M6)1本で取り付けているので、走行振動でその固定ボルトが緩みLEDドライビングランプが傾いてしまうことが何度かあった。運悪く傾いたLEDドライビングランプが樹脂製のフロントフェンダーに接触し、熱で塗装が傷んでしまったこともあった。そこでこの際、市販のランプステーを導入して後顧の憂いを断つことにした。 調べたところ1400GTR(Concours14)専用のランプステーは、米国DENALI Electronics製のもの(品番LAH.08.10200)しか見つからなかった。しかもそのランプステーは既に生産が終了していて流通在庫しかない。海外の目ぼしいバイクパーツ販売サイトでは既に取り扱いを終了していたものの、国内ではYahooショッピングとモノタロウに在庫ありとの表示を見つけた。まず価格の安かったYahooショッピングの方に発注してみたところ、発注から4日後にショップ側から注文がキャンセルされた。そこでモノタロウに発注してみたところ、納期は3ヶ月ということだったが実際には発注から19日後にランプステーが納品された。 届いたランプステーは鉄板を曲げて黒つや消しに塗装した製品で、その厚みは約6.3mm(たぶん1/4インチ)もあり、米国ブランドの製品らしく武骨でずっしりと重い。このランプステーはフロントフォークインナーチューブ(バネ下)にあるフロントフェンダーブラケット取り付け穴(2ヶ所)を利用して固定する。これまでの固定方法とは違い固定ボルトが2本なので、灯体+ランプステーが走行振動を受けても、固定ボルトを回転させる方向に力は掛からない。製品に付属している長い固定ボルトとスペーサーを使ってランプステーを固定するが、雌ネジ側がアルミ製のフロントフェンダーブラケットなので、固定ボルトをオーバートルクで締め付けてネジ山を壊さないよう注意する必要があった。 このランプステーはフロントフォークインナーチューブとフロントフェンダー間の隙間を絶妙なクリアランスで後方に通り抜け、ランプを取り付ける水平な台座を提供する。よくこのようなアイデアを思い付いたものだと感心した。ランプステーにLEDドライビングランプを取り付けてみると、これまでより灯体が後方・下方・側方に位置することになった。見慣れない分少し違和感はあったものの、正面から見てセンターカウルから外側には張り出していないので、すり抜け時に問題になることはないだろう。ところでこのランプステー取り付け作業時に、エンジンヘッドカバーからのオイル漏れが再発しているのを見つけてしまった。またエンジンヘッドカバーガスケットを交換するのかと思うと、とても憂鬱になった。 |
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3.5mmステレオケーブル | ケーブル劣化部分 | Bluetoothヘッドセット | |||||||||||||||||||||
実施日: 2024/2/15 これまで無線交信を行わないソロツーリング時には、FTM-10Sの音声出力を3.5mmステレオケーブルでヘルメットのスピーカーにつないでナビ音声や楽曲を聞いていた。そのケーブルがかなり劣化してきたのでショートする前に使うのをやめて、新たにBluetoothヘッドセットを導入することにした。AliExpressで見つけたGEARELEC社製のGX10というBluetoothヘッドセット(以下GX10)が送料込み5,456円のセールになっていたので購入した。このGX10を2019年の暮れまで使っていたヘルメット(SHOEI J-CRUISE)に取り付けてソロツーリング専用とすることにした。 マスツーリング等で無線交信を行う必要がある場合には、KTELヘッドセット(有線)を取り付けた別のヘルメット(SHOEI J-CRUISE II)を使う。 このGX10は筆者のAndroidスマホ(Motorola g52j 5g II)と問題なくペアリングでき、音声(ナビゲーション・楽曲・通話)はクリアで、音楽プレイヤーの操作(再生・停止・スキップ等)にも問題はなかった。GX10とスマホ間のBluetooth CODECはSBCであるにもかかわらず、スピーカーが良いのか、これまで使ってきたKTELヘッドセット(有線)より格段に良い音質で楽曲が聴けることがわかった。筆者はかなり前にKTEL社製のBluetooth製品(Bear Lizardシリーズ)を使ってヘルメットのヘッドセットをBluetooth化していたことがあったが、それに比べて今のBluetoothヘッドセットは音質や操作性さらに見た目もかなり洗練されていて、その進化に驚かされた。 |
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タンクカバー裏面 | 粉状に剥がれ落ちたスポンジ | 粉状に剥がれ落ちたスポンジ | |||||||||||||||||||||
タンクパッド | タンクパッド | タンクパッド | |||||||||||||||||||||
ケーブルクリップ | タッチペンホルダー | 小物入れカバー縁トリム | |||||||||||||||||||||
実施日: 2024/2/15 2012年1月に行ったオールペイントと同時に新品装着した仏バグスター社のタンクカバーは、その後10年を経た一昨年辺りから、タンクカバー裏面のスポンジが劣化して粉状になって剥がれ落ち、車体を汚すようになってきた。新しいタンクカバーを入手するためには、当時のユーロ円レートが100円前後だったのに対して現在は160円前後なので、1.6倍程の予算が必要となる。仮に大枚叩いて新しいタンクカバーを入手するとしても、筆者の年齢とバイクの車齢を考えれば、これから10年このバイクに乗ることは考えにくい。そこでこの際タンクカバーを使うのをやめることにした。 筆者はこのタンクカバーにいくつかの備品を取り付けていた。ひとつはFTM-10Sから来るDIN 5ピンコネクターを保持するためのケーブルクリップを両面テープで貼り付けていた。このケーブルクリップはタンクカバーを取り外した後には燃料タンクに直接貼り付けることにした。もうひとつはPDAを操作するタッチペンを、このタンクカバー専用のタンクバッグを固定するためのマウント部分に取り付けていた。これはケーブルクリップを利用したタッチペンホルダーを右ハンドルバーのべース部分に両面テープで貼り付けることにした。 このタンクカバーを最初に取り付けたとき、燃料タンク上の小物入れ上側カバーのフチに取り付けられているゴム製のトリム(53044-0028)を取り外したのだが、その外したトリムが探しても出てこなかったので、新しいものを発注することにした。カワサキのサイトで見ると1400GTRのパーツは既に多くが欠品となっていて、このトリムも例外ではなかったものの、Web!keに発注したところ無事入手することができた。そういえば、筆者が長年パーツを取り寄せていたカワサキ屋(名西カワサキ ネットショップ)はパーツ販売をやめてしまったようで残念である。 タンクカバーを取り外すと、ライディングパンツと燃料タンクが触れる部分が擦れて塗装が曇ることがあるので、新たにタンクパッドを導入することにした。AliExpressで"GTR1400"のロゴが印刷されたタンクパッドを見つけたので、送料込み1,835円で調達して燃料タンクに貼り付けた。センターパッドが少々左にずれて貼り付いてしまったものの、パッと見2,000円しないタンクパッドには見えない。日本ではこのバイクをGTR1400と呼ぶ人はまずいないが、海外の通販サイトでは1400GTRのことをGTR1400と呼ぶ方が一般的であるような気がする。 |
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新型PDA内容物 | パイプクランプ形式スタンド | オープニング画面 | |||||||||||||||||||||
設定画面1(中国語) | 設定画面1(英語) | 設定画面1(日本語) | |||||||||||||||||||||
設定画面2(中国語) | 設定画面2(英語) | 設定画面2(日本語) | |||||||||||||||||||||
DC-DC変換による発熱 | BTオーディオレシーバー | PDA/GPSアンテナ取り付け | |||||||||||||||||||||
フロントカメラ | リアカメラ | 前後タイヤ空気圧センサー | |||||||||||||||||||||
ライダー視点 | ホーム画面(GPSアンテナなし) | ホーム画面(GPSアンテナあり) | |||||||||||||||||||||
フロントカメラリアルタイム映像 | リアカメラリアルタイム映像 | フロント+リアカメラリアルタイム映像 | |||||||||||||||||||||
USB-Cレセプタクル | USB-Cプラグ+布テープ | USB-Cで電源供給 | |||||||||||||||||||||
PDAリセットスイッチ | PDAリセットスイッチ裏側 | PDAリセットスイッチ給電側 | |||||||||||||||||||||
PET製保護フィルム貼付 | ガラス製保護フィルム | ガラス製保護フィルム貼付 | |||||||||||||||||||||
実施日: 2024/1/12 昨年暮れ、信号待ちで突然ドライブレコーダー(以下ドラレコ)とポータブル・ディスプレイ・オーディオ(以下PDA)の画面が同時に消えた。帰宅してその原因を調べてみたところ、ドラレコの電源線がドラレコ本体内部でショートしていた。PDAは同じUSBチャージャーから電源を取っていたので、とばっちりを受けて壊れてしまったと思われた。この9インチサイズのPDAは取り付けから数か月の短命に終わってしまったのは残念である。ドラレコの方は取り付けからここまで4年ほどは頑張ってくれたものの、走行距離にすればたったの13,000km以下である。このドラレコの前に取り付けていた日本製のものが10年(57,000km)以上も一度も故障せずに使えたことを考えると、やはり中華品質であったと言わざるを得ない。 ドラレコとPDAが同時に壊れてしまったのは痛い。PDAはスマホで代替できるにしても、ドラレコは手持ちのデバイスでは代替できそうにないし、前述の10年使ったVGA解像度かつ前方しか撮影できない年代物のドラレコを再登場させることはありえない。最近のバイク用PDAの中にはドラレコの機能を持つものがある。そのような製品には、製造は中華であるもののTANAXなど国内メーカーから発売されているものもあるが、その価格は到底年金生活者の手に届くものではない。そこで性懲りもなくまた中華製デバイスを物色することにした。AliExpressを覗いてみたところ、GEARELECというメーカーが直販しているSE80という5インチサイズのPDAが目に留まった。 このPDAは"2024 Upgraded flagship model"と銘打たれていて、それを真に受けるなら最新の旗艦モデルということになる。この製品を紹介している記事や動画をインターネットで探してみたが、ひとつも見つからなかった。もしかすると最新というのはウソではないのかもしれない。ただしサイト上の商品説明にはサポートされているWi-Fi周波数帯域の記載がなかった。もし北米やヨーロッパのスマホがサポートする5.8GHz帯しかサポートしていないのであれば、5.8GHz帯がサポートされていない日本仕様のスマホでは使えない。そこで出品者(=メーカー)にAliExpressのメッセージ機能で、このPDAは5GHz Wi-Fiのどの帯域をサポートしているか質問してみた。 Q: I am considering using this product with a smartphone sold in Japan. The smartphone doesn't support 5.8GHz Wi-Fi. What frequencies (or channels) of 5GHz Wi-Fi does this product support? A: All support, please don't worry 回答は周波数帯に関する具体的な言及はない雑なもので、中華メーカーの面目躍如といったところである。一抹どころか大いに不安はあったものの、しかし筆者としてはできるだけ早くPDA+ドラレコ機能を入手したい。そこでダメ元でこのPDAを発注することにした。 このPDAの商品ページには下のような4種類のバリエーションがあった: 1. PDA本体+ドラレコ前後カメラ 今回壊れてしまったドラレコにはGPSアンテナを取り付けていた。理由はドラレコの時刻を自動的に設定するためと録画された映像に位置情報を埋め込むためである。さらにドラレコと同時に壊れてしまったPDAにはGPSアンテナがなくスマホ側のGPSが使われていたせいか、時々ナビゲーション中にGPS信号を受信できないとの音声警告が出て地図更新がフリーズしまうことがあった。Apple CarPlayやGoogle Android Autoでは、PDA側にGPSがあればスマホのそれより優先して使われる。このPDAの商品説明にはGPSアンテナがどのような用途で使われるのかについての言及はなかったが、筆者には上のような経験があったので、GPSアンテナが付属する2または4を選ぶことにした。 タイヤ空気圧センサーの有無については、現状は純正のタイヤ空気圧センサーが正常動作するようになっているし、それとは別に外付けタイヤ空気圧センサーもある。よってタイヤ空気圧センサーはなくてもよいが、2と4の価格差が邦貨で1,500円程度だったので、タイヤ空気圧センサーが付属する4を発注することにした。クーポンを最大限利用し日本円で21,447円をPaypalで支払って12月30日に発注した新型PDAは、7日後の1月6日にデリバリーされた。筆者は東京都在住だが、エスポリア(通関業者)の記録を見ると荷物は1月5日に大阪に上陸していた。そもそもそういうルートだったのか、それとも1月2日に羽田空港で発生した航空機事故の影響で着地が変更されたのかはわからなかった。 届いた荷物を開梱して内容物を確認した。入れ忘れを懸念していたGPSアンテナとタイヤ空気圧センサー幸運にも同梱されていた。PDA本体を見てみると、AliExpressサイト上の画像ではこのPDA本体の背面にはマウント用のボールが付いているように見えた が、実際に届いたものにはボールは付いていなかった。マウント用の金具もサイト上の画像とは似ても似つかない樹脂製のパイプクランプ形式スタンドが入っていた。しかし説明と実物が異なることは中華モノではよくあることなので、壊れていない限り黙って容認するのが吉である。中華モノとうまく付き合うには、目の前に実在するものを受け入れ、その性能を最大限に引き出すための工夫が必要である。 PDA本体からは短いケーブルが4本出ていて先端には防水コネクタが付いている。それらをフロントカメラ、リアカメラ、GPSアンテナ、および電源から来るケーブルに接続する。マニュアルには、この電源線にはバッテリー電圧(12V~24V)を供給すると記載されていた。PDA本体左側面にはUSB-Cレセプタクルがあり、ここにUSB-Cケーブルを差し込んで電源(5V)を供給してもPDAは起動する。このことから、バッテリー電圧はおそらくPDA内部で5VにDC-DC変換されているのだろう。このPDAをバッテリー電圧で運用する場合は、PDA内部のスイッチングレギュレータがDC-DC変換時に出す電磁放射ノイズ(EMI)による電波障害や発生する熱を気に留めておく必要がある。 車両に取り付ける前に机上で動作テストを行う。 壊れたドラレコで使っていた128GB MicroSDカード(このPDAのマニュアルには256GBまでサポートされるとあった)をドラレコ映像録画用としてPDA本体左側面のスロットに挿入する。次にPDA本体から出ているケーブルに各デバイスを接続して12V電源でPDAを起動してみた。オープニング画面はSUZUKI GSX-R1000がコーナリングしているもので、可能なら別の画像に変更したいが、その方法はマニュアルに書かれていなかった。 オープニング画面が消えるとホーム画面が中国語(簡体字)で表示された。ホーム画面右下の歯車アイコンをボタンを押すと中国語の設定画面に遷移した。その中の"語言"を選んで言語を英語に変更したところユーザーインターフェースは英語に変った。言語は日本語も選択できるが、見るたびにモヤっとしそうなのでやめておいた。別の設定でタイムゾーンを中国標準時(UTC+8)から日本標準時(UTC+9)に変更して時刻を合わせ、スロットに入れたメモリーカードをフォーマットしておく。 ホーム画面にはいくつかのボタンがあり、それを押すとそれぞれの画面へ遷移する。英語表記のボタンは[Recorder]、[Mobile Link]、[BT]、[Replay]、[Setting]があった。筆者が調べたそれぞれの画面の機能は下のとおりである: [Recorder]は前後カメラのリアルタイム映像表示画面で、3つの表示パターンが選べる。それらはフロントカメラの映像(全画面)、リアカメラの映像(全画面)、フロントカメラの映像(全画面)にリアカメラの小さな映像を左上に重ねたものである。画面が明るく見やすいこともあり、リアカメラの映像は車線変更時の後方確認用として実用になると思われた。 [Mobile Link]は CarPlay/Android Autoのナビ画面表示である。この画面はスマホ側から出しているので他のディスプレイオーディオで表示されるものと共通である。ただしこのPDAでは、ナビ画面をタップして何か操作を行うたびにドラレコカメラリアルタイム映像表示・音量調整・画面輝度調整・ホーム画面へのショートカットがオンスクリーンディスプレイ(OSD)形式で数秒間表示される。 [BT]はBluetooth関係の設定画面と思われたが、実際のところ使い方がよくわからなかった。AliExpressサイト上には、このPDAにはBluetoothが2つ内蔵されていて、ひとつはAndroid Auto用にスマホと接続するため、もうひとつはBluetoothヘッドセット等に接続するためとの説明がある。おそらくこの画面でBluetoothヘッドセット等とペアリングすると推測されるものの、付属のマニュアルには一切の説明がない。手持ちのBTオーディオレシーバーやBluetoothイヤホンなどでペアリングを試みたがすべてうまくいかなかった。もしペアリングに成功するとナビ音声や音楽以外に、現状はPDA内蔵のスピーカーで鳴っている通知音や警告音がヘッドセットで鳴るようになる可能性はあるものの、筆者の運用ではそうならなくとも特に支障はない。 [Replay]は前後カメラ録画映像の再生画面で、SDメモリーカードに記録された映像ファイルにアクセスしてそれを再生できる。 [Setting]は設定画面でPDAの各種設定を変更できる。GPSアンテナを取り付けている場合には下のような選択肢が表示された: Loop Recording, Car OSD, Speed Unit, Speed compensation このうち下線で示したものはGPSアンテナを取り外すと表示されなくなった。それらはSpeed Unit(速度単位)、Speed compensation(速度補正)、Gps info(GPS情報)であり、GPSアンテナを取り外すとホーム画面に現在速度が表示されなくなることを考えれば、それらの選択肢が出ないのは理に適っているといえる。 ホーム画面が出た後、このPDAで使うAndroidスマホ(国内仕様のXiaomi Redmi Note 9S)でBluetoothのペアリング画面を開くと、PDAがBluetoothでペアリングを求めていたので、それを許可するとあっけなくPDAにAndroid Auto画面が表示された。つまりこのPDAがサポートするWi-Fiの周波数は5.8GHz帯だけではなかったということになる。 IPS液晶の画面表示は輝度・コントラストともに以前のPDAより高く、画面サイズは小さくなったものの見やすさはこちらの方が上である。設定の画面輝度調整ではAutoとManualが選べるが、Autoに設定した後にPDA周辺を暗くしても明るくしても画面輝度に変化はなかった。このPDA本体の下面には小さな穴があるので、念のためここに懐中電灯の光を当ててみたが、やはり画面輝度は変化しなかった。おそらく明るさセンサーは内蔵されておらず、明るさセンサーがある他のPDAのソフトウェアを使いまわしているのだろう。 Android Auto画面を操作してみたところ、実際にタップした位置より若干右側がタップされるように感じられた。設定にタップ位置のキャリブレーションはないので、運用としては目的の位置の少し左をタップするしかないだろう。前述したようにAndroid Auto画面では、画面をタップして何か操作を行うたびにドラレコカメラ映像・音量調整・画面輝度調整・ホーム画面へのショートカットがOSD形式で表示される。これは画面に触れなければ数秒で消えるが、表示されている間はその下にあるボタン等が押せなくなるので、急いでいるときには煩わしい。この機能は設定でオフにすることができないようだった。 このOSDパネルはデフォルトでは画面右端に表示されるが、ドラッグすれば左に移動できる。しかし一旦別の画面に遷移した後ナビ画面に戻ってくると、また画面右端に表示される。 リアカメラおよびフロントカメラで撮影された映像は、PDA本体左側面のスロットに入れたマイクロSDメモリーカードにリア/フロント別々のフォルダ(rear/front)にファイルとして保存される。ファイル形式はMPEG2-TS(.ts)で、解像度は2560 x 1440、フレームレート30FPSでビットレートは約16Mbpsと正直ムダにスペックが高く、約1分の動画で約120MBの巨大なファイルが生成される。設定にはこれを変更するための選択肢はない。変更できるのは1ファイルあたりの録画時間だけで、1分・2分・3分が選べる。ちなみにAliExpressのサイト上では、録画される映像の解像度は1080P(1920 x 1080)と説明されていた。 録画された映像ファイルはMPEG2-TS形式が再生できる動画ビューアーで見ることができる。映像がカクつくことはないものの、スペックが高いワリに解像感は普通である。録画された映像(フロント・リア)にはPDAに設定した時刻がキャプションで挿入される。GPSアンテナを取り付けている場合、さらに映像に位置(緯度・経度)と速度の情報もキャプションで挿入され、かつ録画ファイルに位置情報が埋め込まれる。”HIT GPS Player”というWindows用動画再生アプリケーションでその録画ファイルを再生すると、ファイルに埋め込まれた位置情報を使ってアプリ上のGoogle Mapsにその映像が撮られたときの位置が示される 。 このPDAの背面を見るとスピーカーホールがあり、ここから通知音や警告音が出ているものの、Android Autoで出力される音声(ナビの音声案内やAmazon Musicで再生した楽曲)はPDAにワイヤレス接続しているAndroidスマホ側で鳴った。筆者はヘルメットに取り付けたKTELの有線ヘッドセットをFTM-10Sにつないで使っているので、Android Autoで出力される音声をその有線ヘッドセットで聞くためには、音声出力を有線でFTM-10Sの音声入力端子(3.5mmステレオジャック)に入力する必要がある。音声がスマホで鳴っているので、スマホのヘッドホン端子(3.5mmステレオジャック)とFTM-10Sの音声入力端子をケーブルでつなげば簡単だが、そうするとスマホが有線接続に縛られることになりワイヤレスAndroid Autoを使う意味がなくなる。 そこで新たに調達したUGREEN Car Bluetooth Audio Receiver(CM309)(以下BTオーディオレシーバー)を車載USB電源に接続してスマホとペアリングし、スマホで鳴っている音声をBluetoothでBTオーディオレシーバーに飛ばして、その音声出力端子(3.5mmステレオプラグ)をFTM-10Sの音声入力端子に接続することにした。このBTオーディオレシーバーのBluetooth CODECはSBCとAACがサポートされ、筆者のスマホとはAACでつながった。机上のテストではFTM-10Sの代わりにパワードスピーカーにつないで音を出してみたところ、スマホとパワードスピーカーを有線で接続したのとほぼ変わらない音質と感じられた。車載した際の音量調整は、スマホの音量を一定にしておきFTM-10Sのコントロールパネル上のボリュームつまみで行うことになる。 机上で12V電源を使ってPDAの動作テストをしていると、PDA背面にある金属のスタンド取り付け部分がかなりの熱を持っていることに気付いた。非接触温度計で温度を測ってみると48℃(室温約20℃)を超えていた。前述したように、おそらくこのPDAは内部でバッテリー電圧(12V~24V)をスイッチングレギュレータで5Vに下げている。スイッチングレギュレータは作動すると発熱する。そこで12Vの通電を止めて一旦温度を下げ、バッテリー電圧の代わりにPDA本体左側面にあるUSB-CレセプタクルにUSB-Cケーブルを差し込み5VでPDAを動作させてみたところ、マウント金具部分は全く熱を持たなかった。このことから、熱はDC-DC変換に伴うものということができる。 机上のテストではこのPDAに故障は見つからなかったので車両に取り付けることにした。 車両のロワーカウリング・左サイドカバー・テールカバー以外の外装をすべて取り外すところから作業を開始する。まず壊れてしまったドラレコとPDA、およびそれらの配線や前後カメラを撤去した。次に新しいPDA本体の取り付けを行う。PDA本体の背面にはマウント用のボールが付いていないので、RAMマウントなどを流用できそうになく、素直に付属の樹脂製パイプクランプ形式スタンドを使ってPDAを取り付けることにした。付属していた22.2φパイプ用のアダプタを使ってパイプクランプをハンドルブレースの右側バーホルダー(22.2φ)に取り付けたところ、ネジを一杯に締めてもハンドルクランプが固定されずぐるぐる回ってしまった。そこで0.5mm厚のゴムシートをバーホルダーとハンドルクランプの間に挟んでみたところ固定された。このスタンドにPDAを取り付け画面がライダーを向くように調整した。 PDAから出ているフロントカメラ、リアカメラ、電源のケーブルにそれぞれの中継ケーブルを防水コネクタで接続する。カメラの中継ケーブル2本は長さが異なるので、長い方をリアカメラに使うことにした。防水コネクタから先の中継ケーブル3本を配線チューブに入れ、既存のハンドル右スイッチボックスから出ている配線に添わせて右インナーカバー下まで配線する。アッパーカウリングを車体に取り付け、フロントカメラをこれまでのドラレコのカメラと同じアッパーカウリング下部に両面テープで貼り付けてケーブルを右インナーカバー下まで配線し、PDAから来ているフロントカメラの中継ケーブルに防水コネクタで接続する。リアカメラをこれまでのドラレコのカメラと同じアンテナステー下部に両面テープで貼り付け、ケーブルをシート下まで配線しておく。 リアカメラの中継ケーブルと電源ケーブルは右インナーカバー下から車両後方に配線し、リアカメラの中継ケーブルはシート下まで配線しておいたリアカメラのケーブルに防水コネクタで接続する。電源ケーブルは右センターカウリング内部にあるノイズフィルターを経由した12V電源(イグニッション連動)に接続した。GPSアンテナ本体はこれまでのドラレコと同じくフロントブレーキリザーバータンクのフタに両面テープで貼り付けることにした。PDAから出ているGPSアンテナ用のケーブルとGPSアンテナのケーブルを防水コネクタで接続し、大きく余ったケーブルは巻いてインシュロックでまとめ、他の中継ケーブルに添わせておいた。 BTオーディオレシーバーはガソリンタンク上の小物入れ内のUSBチャージャーに取り付けて、その有線音声出力(3.5mmステレオプラグ)をFTM-10Sの音声入力端子(3.5mmステレオジャック)に差し込んでおく。昨年12月に取り付けた外付けタイヤ空気圧センサーの前後センサーとモニターを取り外し、このPDAに同梱されていたタイヤ空気圧センサーをエアバルブに取り付けた。 車両への取り付けができたので試運転に出かけてみた。 PDAの画面は机上で感じたとおり外でもかなり見やすく、画面輝度を最高にしておけば、画面に直射日光が当たっても十分視認できる。画面がグレアパネルなのでヘルメットを被った自分の顔が映り込むがこれは仕方ない。ホーム画面ではPDAに設定した日付時刻の他に、GPSアンテナを取り付けていれば現在速度(km/h)と進行方向(8方位)が表示される。現在速度は数値で表示され長めのインターバル(1秒程度)ごとに更新されるので、加速中や減速中にはあまり実用的ではないが、速度変化の少ない高速道路を走行するような場合には使えそうである。タイヤ空気圧センサーを取り付けていればタイヤ空気圧と温度が表示される。タイヤ空気圧はBARで表示され、純正のタイヤ空気圧センサーが示す値と同じか若干低い(0.1~0.2 BAR)値が表示された。 このPDAにはバッテリー電圧(12V)を供給しているので、PDA内部のスイッチングレギュレータが電圧を5Vに下げるとき出す電磁放射ノイズ(EMI)が純正のタイヤ空気圧センサーに悪影響を与える懸念があった。しかし試運転中にはインパネのフロントタイヤ空気圧は消えることなく表示され続けたので、電波障害は発生していないようだった。スイッチングレギュレータの発熱で夏場にPDAがオーバーヒートしてしまう可能性は考えられるが、今のところUSB-Cで電源供給を行う必要はないと思われた。 試運転中には、GPSアンテナによる恩恵かGoogle Mapsによるナビゲーション中にGPS信号を受信できないとの音声警告が出ることもなく地図の更新は継続された。BTオーディオレシーバー経由のナビゲーション音声やAmazon Musicによる音楽が途切れるような問題もなかった。ただし、これは壊れてしまったPDAでも同様だったが、スマホ上のGoogle Mapsで経由地を含むナビゲーションルートを作成し、ナビ開始ボタンを押さずにこのPDAにナビゲーションを引き継ぐと、経由地がすべて削除された最終目的地へのルートとなる。これはわかっていれば運用で回避できる。 このPDAは中華製品特有の詰めの甘さはあるものの、雨が降って故障するようなことさえなければ、バイク用PDAとしては実用に足るというのが現時点での筆者の見解である。 <2024/1/14追記> <2024/1/17追記> そこで試しにPDAに12Vを給電するのをやめて、PDA本体左側面のカバーを外してUSB-CレセプタクルにUSB-Cケーブルを差し込み5Vを給電してPDAを動作させてみた。机上のテストでは、このようにすればPDAに内蔵されているスイッチングレギュレータが使われないことはわかっている。そのようにしてみると、少なくともテスト走行中(約1時間)上のようなおかしな現象は発生しなかった。やはりスイッチングレギュレータが発する熱に関係している可能性がある。 問題の原因がスイッチングレギュレータが発する熱でPDA(CPU)が熱暴走しているのか、それとも熱を持ったスイッチングレギュレータが出す電磁放射ノイズが影響しているのかはわからない。テスト時の気温は1月にしては暖かい14℃程度だったが、もし熱の影響によるものであれば、路上の気温が40℃を超える夏場には、走行開始からかなり短い時間で問題が発生する可能性がある。 そこで当面はUSB-Cケーブルで5Vを給電してこのPDAを使うことにした。ただしそうすれば防水コネクタで12Vを給電する方法に比べ防水性が劣ってしまう。一応このPDAのUSB-Cレセプタクルには、USB-Cプラグを差し込む部分にゴム製の防水パッキンが装備されている。そこでそのパッキンの効果を高めるために、USB-Cプラグの根元に約1mm幅に切った布テープを巻き、パッキンとの隙間を埋めるようにしておいた。 <2024/2/15追記> 上の問題となる現象が発生した場合の対策として、PDAに供給する電源を入り切りするスイッチを装備し、走行中にでもPDAをリセット(再起動)できるようにすることにした。防水仕様のモーメンタリ押しボタンスイッチを使い、通常時にはそのNC接点を経由してPDAに電源を供給する。スイッチを押せばNC接点が開きPDAに電源が供給されなくなる。スイッチを放せば再びNC接点が閉じ、PDAに電源が供給されリセットが完了する。夜間にもリセット操作がし易いように、押しボタンスイッチには照明があるものを使っておいた。 ナビゲーション中や楽曲再生中ににPDAをリセットしても、実際のナビゲーションや楽曲再生はスマホで実行され続けているので、リセット後にPDAが立ち上がればナビゲーションや楽曲は自動的にPDA画面に表示される。 <2024/2/19追記> <2024/2/24追記> |
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